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53.進化とはなんだろうか [生物]

 今日、午前中、上野の科学博物館ダーウィンを見に行ってきました。 

 感想は、良くも悪くも“ダーウィン展”でした。ダーウィンの生涯とその業績をていねいにおっている。特にダーウィンが出した手紙や自筆のノートは必見。そもそも2009年のダーウィン生誕200年を記念して企画され、それが世界を巡回しているらしい。

 “悪くも”というのは、あまり「進化」に踏み込んでいないから。まぁダーウィンの進化論はそのままでは現代の進化生物学には「適応」できないので、しょうがないんだけどね。

 見た感想をもう一つ言えば、先週紹介した「ダーウィンの『進化論』」を読んでおいて良かったー。なんだか構成がそのまんま、という感じ。でも、やはり見せ方はうまいね。青年時代、ビーグル号の紹介ときて、次の部屋に入るといきなりあれが!言わないでおきましょう。

 さて、先週の「ダーウィン…」をふまえての見るポイントをいくつか。

 ダーウィンは「種の起源」で、進化論にたどりついた3つのポイントをあげている。1つは南米パタゴニアで発掘した絶滅した巨大ほ乳類の化石。現代にも似ている種があり、それが変遷している証拠となる。これについては巨大アルマジロの甲羅の化石が展示されている。

 2つめは南米に生息するレア(ダチョウ)の地理的変異。これも展示あり。

 3つめはガラパゴス諸島の動物の変異で、後の研究で有名になったフィンチの剥製がいくつかある。

 ダーウィンは進化論にたどり着いてから発表するまで20年間寝かせている。その間フジツボの内部構造の変異の研究に没頭している。簡単な展示あり。

 そして発表することにしたのはウォレスに先を越されそうになったから。そのあたりの資料もあるよ。

 また、進化論にたどり着く道しるべになった本が2つある。1つはライエルの『地質学原理』。大地ですら変動する、ということが生物も進化する、という発想に結びついた。

 もう1つはマルサスの「人口論」。ここから「淘汰」という発想を取り入れている。

 それからダーウィンは系統樹という発想をした。これが進化論への論理の“進化”を決定的にした。

 お土産はカタログとクリアファイル。展覧会を見ちゃクリアファイルを買ってるんだよね♪

ダーウィン展.JPG

 今週の本は、先週の「ダーウィンの『進化論』」を翻訳した行動生態学者・進化生物学者の長谷川眞理子「進化とは何だろうか」。わかりやすい進化論の本はないか(ただし「進化論早わかり!」みたいな本はこのブログでは紹介したくない)と探し、読んでみた。

 ダーウィンの「進化論」は今では誤りとされる内容も多く含む。仕方がないね、まだ遺伝の仕組みすら解明されていないのだから。でも一番重要な2つの概念は今でも真理として扱われている。それは「適応」「自然淘汰」だ(ただし解釈の仕方はダーウィンのそれとは多少違ってきている)。

 本書ではその2つについて、研究事例と適応度の計算を通して具体的な説明をしてくれる。

 地理的変異についてのおもしろい事例も載ってる。 例えば、セグロカモメは北欧、シベリア、北米と陸続きに少しずつ変異していく。それぞれとなりの区域とは少しの変異なので交配ができるらしい。ところが地球を一周した北米と北欧との種はもう完全に別種になっていて交配ができないらしい。

 この地理的変異はダーウィンも南米やガラパゴス諸島での観察を通して気づいていて、進化論を築く大きな手がかりとなっている(上述の通り)。

 またこの本では、単に“ダーウィンの”進化論を紹介するだけではなく、共進化最適化分子進化の中立説ゲーム理論などの20世紀後半の進化論についても具体的な事例をあげて紹介してくれる。 

 具体的な例、研究事例がちりばめられていて、しかも学生向けに書かれているのでかなりお勧め・で・す・が、中学生にはちょっと厳しいところもある。特にDNAがからむところ(何しろ習ってないからね)とゲーム理論のところ。まぁその辺は読み飛ばしてね。

◆中学生で読める度:★★★★☆  ただし分からないところはとばし読み。
◆内容充実してる度:★★★★★  

進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))

進化とはなんだろうか

  • 作者: 長谷川 真理子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: 岩波ジュニア新書323
    価格 : 819円

 

 なんと著者のハセマリ(と学生からは呼ばれているらしい)は学大附属高校卒らしいよ。

 

 上野のお山の桜はもうほぼ満開でした。今週末は人出がすごいだろうなぁ。

上野花見.JPG

 


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コメント 7

素風

ダーウィン展に行ってこられたんですね。いいなあ。愚息も特別展に行くたびにクリアファイルを買っています。今回のクリアファイルもいいですね。楽しみ。

今は進化を中学校で習わないんですね。いきなり高校で進化と遺伝を習うのかしら。もったいないなあ。おもしろいのに。あ、私は文系なので理科1のあとは生物のみでした。理科の他3科目、もったいないことしたんでした。
by 素風 (2008-03-27 08:56) 

すうちい

行ってきましたよー。10時ぐらいだとそんなには混んでなかったですね。

高校で生物をとらないと一生進化をちゃんとは習わないわけです。おもしろいのにねぇ。私は全部履修しました。ちなみに社会も全部とった。でも全部3分の1はサボってる(それがぎりぎり)ので、なにやってんだかってかんじですね^^;
by すうちい (2008-03-27 17:36) 

SAKANAKANE

ゲーム理論にまで論及しているのは、嬉しいですね。
by SAKANAKANE (2008-03-30 13:35) 

いっぷく

前記事コメントで追記のようになっちゃいますが、気になって調べたら、
ダーウィンの墓の隣にウォレスの墓の代わりに彼をあらわすメダルが置かれているそうです。
by いっぷく (2008-03-30 14:57) 

すうちい

>SAKANAKANEさん 具体的に説明してくれてます。今度公開模試のネタに使ってみようかな。

>いっぷくさん ウォレスもいい人ですよね。現代のシステムなら“進化論”の第一提唱者なのに、ダーウィンを最後までたてた。いい人。
by すうちい (2008-03-30 20:47) 

素風

理科も社会も全科目!履修不足で批判の嵐が吹き荒れたりする昨今(幸い母校は名前が挙がらず安心しました)では考えられない。すうちいさんってすごい。尊敬の念が深まりました。
by 素風 (2008-04-02 20:43) 

すうちい

いや、何でもやってみたいだけなんです。でもすぐに飽きて、サボり出す、毎度のパターンです。^^;
by すうちい (2008-04-02 22:26) 

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